先輩「俺は熊に出くわしたときのために、山用のナイフを用意しているぞ」
八幡「すげーナイフですね」
先輩「普段は鍵付きの金属箱で管理してるけどな」
八幡「捕まりたくないですからね」
うーん、でも熊には勝てないんじゃあないかなぁ・・・
模範解答を今日も模索しています。
どうも八幡です。
渓流釣りにいかれる職場の先輩と何年も前にかわした会話ですが、どうなのでしょう。
うん、今考えても熊には勝てないよね。
熊は両手に爪というナイフを、何本も常時装備してますからね。
渓流や山に入るのにナイフは役に立つ必需品ではありますが、対熊用の兵器になるわけではありません。
対熊用と考えているなら、お守り程度の精神安定剤だと思っておいてください。
さて、熊対策も必要ですが、渓流には他にもたくさんの危険が潜んでいます。
少しでも安全に渓流釣りを楽しむためにも、規則やマナーに続いて基本的な危険事項も知っておく必要があると思います。
今回は
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渓流釣りに興味のある方
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最近渓流釣りを始めた方
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山菜取りやきのこ狩りなどをする方
などに読んでいただけると嬉しいです。
渓流釣りに潜む危険
渓流釣りは他の釣りに比べて、危険度は高いと思います。フィールドが大自然の真っ只中ですからね。仕方ありません。
とはいえ、その危険を知っているのと知らないのでは大きな差を生みます。命の危険に直結するかも知れません。対策をしておきましょう。
1、熊などの野生動物
ここ近年は特に熊の目撃例が増え、犠牲者も出ています。ちゃんと対策をしておきましょう。
一番いいのは出会わないことです。出会わなければ襲われようがないですからね。
そのためには音を出して歩くことが必要です。音で人間の存在を知らせて、熊の方から人間を避けてもらうのです。
音を出すには熊ベル、熊鈴、笛、爆竹、ラジオなどがあります。
爆竹は山に入るときのご挨拶みたいなもので、これから人間が山に入りますよ、という野生動物への合図。しかし爆竹は音が鳴り続けるわけではないので、一時的な効果しかありません。
ラジオは電池が切れたら音は出ません。笛も常時吹き続けるのは無理でしょう。
というわけで、おススメは熊ベル。鈴でも音は出ますがベルのほうが断然響きがいいです。最初の一つには熊ベルをどうぞ。
八幡は笛も持ち歩いています。
熊だけでなくイノシシなどの危険な動物は他にもいますので、注意してくださいね。
またナイフでは動物に勝てません。八幡は熊撃退スプレーを最後の砦として用意しています。
しかしあくまで最後の砦。
熊に出会った時の基本の対処はにらみ合う事です。
動物界は目と目でケンカします。
ガンの飛ばし合いというやつです。
不用意に視線を外すとコチラを下と見て、熊は襲い掛かってきます。
なので視線を外さず、後ろずさって距離をとりながら、熊が去るのをまちます。
こちらが弱気なのを悟られてはいけません。
涙目を堪えて、目に気合を込めてくださいね。
・・・できるかなぁ
もしかしたら、山用ナイフや熊スプレーは弱気にならないための、精神増強アイテムみたいなものかもしれませんね。
2、へび、ハチなどの小動物
ヘビも熊と同じで基本的には人間を避けるのが普通です。
なのでヘビの被害に合われるのは出会い頭が多いとのことです。例えば掴んだ木の枝に絡まっていたとか・・・
捕まる先の枝はよく見てからにしましょう。 基本の対策は手袋の着用です。
ハチも怖いです。昆虫系の怖いとところは、向こうから逃げてくれないこと。しばらくまとわりついてきて、怖い思いをします。
また、車の熱に惹かれてアブやはちが寄ってくることがあります。ひどくて車の中から出ていけない事態になったこともありますね。
逆にスズメバチが車の中に入って来ることもあります。渓流から出るまでハチとランデブーになったときは、生きたここちがしませんでした。
八幡はスズメバチ対策にキンチョールを持ち歩いてます。他の虫への効果はそれなりですが、スズメバチに関してはキンチョールはなかなかの威力を発揮しますよ。渓流内では蚊取り線香を携帯皿にいれて歩いています。
またヒルの対策として少量の塩も用意しましょう。
3、川の流れ
「海は深くて足がつかないから危険。川は浅いから大丈夫」
そう主張する方もいます。
違います。川は淡水なので基本そのままでは体が浮きません。しかも川は流れがあるため非常に危険なのです。
強い流れがあると水に足が取られてしまいます。急流では人間の力が及ぶような水の流れではありません。
足が取られバランスを崩すと、水深はもう関係ないですからね。人間はタライに水を張った20センチの水深でも水死することができますから。
余裕のあるウェーダーを着用していると、バランスを崩し水に流されたとき、空気がはいっているため、足の方だけ浮いてしまい肝心の顔が水没してします。大変危険。
さらに、水に流されウェーダー内に水が侵入すると重くなって、立ち上がることが出来なくなってしまいます。これも非常に危険です。
もし流されたときは、まずパニックにならないこと。
グッと息をこらえ、両腕の付く浅瀬まで耐えることが必要です。竿なんか早々に手放してくださいね。命には変えられません。
一見流れが穏やかで安全そうに見える沢でも、水深の深いカーブの外側は流れが早かったりします。
渓流域でも、源流域でも沢を渡河して釣り上がりしていくことが基本です。決して油断しないようフィールドをよく観察してくださいね。
少しでも不安を感じた場合、緩やかな浅瀬まで陸を移動してください。
4、川底の変化
川底は変化に飛んでいます。特に渓流釣り師が好むような、渓流域は砂があり、砂利があり、岩もあります。でこぼこになってます。
場所に寄っては苔なども生えて、とても滑りやすくなっています。
苔などにきく、滑り止めの付いたフェルトブーツなどを履いて対策しましょう。
ラバー製の長靴はコケや藻の川底では大変滑りますよ。
そしてフェルト製でも油断するとスグに滑ってしまうので、気を付けることが第一です。
また、川底が予想外にぽっかり穴が開いていることがあります。怪しいところはすり足で行くなど、重心を安定させる方法をとってくださいね。
たとえ水に流されなくても、転ぶだけで相当痛いです。基本岩場ですから。
八幡は厚手のドライタイツを夏でも着用していますが、転んだ時の痛みは若干マシです。
5、急な増水
山の天気は変わりやすいです。
そして小さな沢ほど、少量の雨でも水位がスグに上昇します。
普段は穏やかな沢でも、増水すると大変危険ですので注意してください。
対策としては行く前に天気予報をチェックしておくこと。
その日は雨が降らない事が前提。
できれば数日前の天気も知っておけばよいでしょう。本流域では遅れて増水することも珍しくありません。
また上流にダムがあるところも気をつけましょう。放流に巻き込まれては大変です。
渓流域では鉄砲水にも注意が必要です。鉄砲水は流木などによって堰き止められていた自然のダムが増水によって決壊することで発生します。やはり数日間の天気のチェックで発生の危険性が高いかどうかが分かります。
現場では「綺麗だった水に急に濁り水が混じった」などの変化を感じたら、スグに沢から撤収するなど早めの対処をしてください。
八幡も30分程度でひざ下だった水位が腰まで来ていたことがあります。あれはビビった。もう少し遅れていたらヤバかったと思います。
入渓ポイントまで戻れなくても、まずは水からあがることが大切。
林道側に上がれればあとは何とかなります。
6、雷
釣り中に雷がなったら、そく納竿です。
渓流釣り以外でも納竿します。釣り師の常識といってもいいでしょう。
釣り竿は基本カーボン製で伝導性があります。
雷に打たれたくありませんからね。
本流域ののべ竿なんか9~10mものまでありますからね。避雷針のごとく雷を呼び寄せるでしょう。
竿を畳んで車まで戻るのが一番安全です。
7、無理な直登
林道が並走するような渓流域で退渓するとき、そのまま沢を下り入渓ポイントまで戻るより、林道に上がって歩いた方がもの凄く楽です。
八幡もよく林道を歩いて車まで戻ります。
その際、沢から林道までどうしても坂を登らねばなりません。基本急斜面です。その急斜面を迂回しないで登ることを「直登」といいます。
この「直登」が危険です。
安全に登れるルートの斜面を見つけるまでは直登しないように。
いえ降りられるルートの斜面でしか直登してはいけません。
入渓ポイントから戻ることが一番安全です。
命の危険体験談
八幡の渓流釣り史の中で一番危険だったのは「直登」です。
渓流釣りをはじめて2年目。
退渓しようと思い、いつもよりも急でいつもより長めな斜面を見つめながら、直登ルート見積りました。
「あの枝につかまって、あの角に足をかけて…最後にあの崖側に曲がった太い木につかまれば・・・お、行けそうじゃん」
程度の甘い素人見積りでした。
登り始めて、いつもより急なことには気づいていましたが、そのまま登り・・・
「ダメだったら登ってきた通りにおりて、別のルートを探せばいいや」
と思っていました。
・・・そして最後の最後に
「あ、掴まる予定だった木にあと30cm届かないや。他に掴まるものもないし。あとチョット。上までほんの1mもないくらいなのに・・・。仕方ない降りて別のルートをさがそう・・・」
そう思って下を見たとき、やっと自分が死地に立っていることに気が付きました。
斜面って登るより降りる方が危険なんですね。
一つ前まで足をかけていた下の岩のデッパリは、今の体勢からだと戻れないことに遅まきながら気が付いたんです。
とても飛び降りれる高さでもない。
「落ちたら間違いなく死んでしまう」
そう恐怖に震えたことを覚えています。
今こうしてブログを書いているので、結論からいうと八幡は助かったのですが・・・
「やばいやばいやばい・・・」
とても降りられない。なら、あがるしかない。でもこれ以上つかまるものない。斜面にへばり付くのがやっとで、大きく身動きもとれない。
「もう30cmで木に届くのに」
そう思いながら観察すると、目の前にその木の根っこが土から半分はみ出ていることに気が付きました。
「これだ!!」
身体を揺らさないように気を付けながら、はみ出た根っこの周りの土を掘っていきます。もちろん手で。
幸い掘り起こした根っこは、拳一つ分くらいの太さで、強く握っても大丈夫そうな強度を感じました。
「この根っこの強度にかけるしかない!」
滑らないよう右手で強く根っこを握り、身体を思いっきり引上げ、木に左手をかけて・・・今度は左手で身体を引き上げる!
必死でした。
手が滑ったり、バランスを崩したらリアルアウト・・・
曲がり出た木の幹になんとかよじ登りました
腹を支点にして、身体をくの字に折りながら木に体重を預けます
・・・
たすかった~~
本当に木があって良かった。
根っこをあって良かった。
木の強度が十分で良かった。
・・・
少し休んでから、バランスに気を付けながら木から上の地面に移動しました。
そして思いました。
「生きてるって素晴らしい。帰ったら嫁に思いっきり抱きつこう。子供にもっともっと優しくしよう。・・・今後は危険なことはしない!!」
それから、無理な直登はしていません。
「どう考えてもルートが完璧で登れる」かつ「最悪降りることのできる傾斜」でしか直登していません。
渓流で命の危険を感じたのはこの一度のみ。
そしてこれからもこの一回のみで済ませれるよう、知識と装備と感覚を総動員したいとおもいます。
最悪の事態に備えて、渓流釣りは2名以上で行くことをおススメします。
一人に何かあっても、もう一人が助けを呼びに行けますから。
こんな危険な目にあっても渓流釣りはやめていません
八幡の危険は、素人が「危険なことを危険だと認識していなかったせい」です。
完全に避けられた危険です。
事前に危険な項目を覚えておき、危険な行動をとらないようにしましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
渓流釣りはやめられない!!
八幡でした。